21世紀の今日にいたるまで北宇智駅でスイッチバックが実施されていたのは、五条からこっちの地形がずっと傾斜地だからである。線路に平行して走る国道を五条から北宇智に向かうとよく分るのだが、文字通り傾斜している。これを鉄道用語的に表現すると「20‰(パーミル)」になるらしい。「‰(パーミル)」とは1000メートル進むと20m上下するという意味である。つまりそれだけアップダウンがあるという意味なのだ。
北宇智駅にスイッチバックが設けられたのは蒸気機関車の時代だ。当時は列車運行に際して必須の処置だった(だから設けられたわけだ)。しかして21世紀のご時世にはパワフルな電化車両が幅をきかせている時代でる。今、JR和歌山線を走っている電化車両にとって20‰の傾斜なんて問題ではないらしい。
※上記のQTVRは、画像上をポイントした状態で【Shiftキー】でズームイン、【Ctrlキー】でズームアウトです。画面上でドラグすると「グリグリ」動きます。遊び終わったら元の角度とズーム位置に戻しておいてくださいませ。
上記QTVRは五条側から駅を撮影した画像。撮影方向は南側から北に向けてである。ちょうど電車が20‰の傾斜をものともせずにグイグイと登ってくる線路を表現しようとイメージしたものである。果たしてちゃんと表現できているだろうか。撮影者としては少し心配なのである。
注ポイントは左手の土手。線路やホームと比較していただければ、傾斜の度合いをご理解いただけるかと。
北部紀州周辺でいえば「南海鉄道南海高野線」の紀伊細川駅付近に「50‰」というエグイ急勾配があるらしい。50といえば、20の1.5倍である。しかも、あのあたりは名だたる霊峰「高野山」がなければ確実に鉄道は通っていないであろう路線である。そのあたりを踏まえていただければ、その険しさと角度の鋭さをイメージしていただけると思う。ちなみに、世の中的には「25‰」が急勾配のボーダーラインになるらしい。ということは、北宇智駅の「20‰」はエグクはないものの、そこそこ急な勾配になるのやもしれない。
私が「‰」という単位を初めて知った(耳にした)のは、映画「海峡」だった。ネットで調べてみると青函トンネルは「12‰」あるらしい。青函トンネルの「12‰」、北宇智駅の「20‰」、急斜面の「25‰」、高野山の「50‰」という具合に並べてみると、かつてはスイッチバックが実施されていたものの、廃止されるに至ったという経緯がより深く理解できるように思う。
はりきって20‰を表現するべくシャッターを押しまくったので、その成果の一部をここに掲載しようと思う。「成果の一部」とは書いたものの、「成果の中のお見せできる一部」というのが実際だったりするのだけれども。